ネコちゃんたちは、自分のお家が一番安心する場所です。
外の世界は新しい冒険がいっぱいで、楽しいこともあるかもしれませんが、
ちょっぴり怖いこともあります。
特に、知らない人に出会う、知らない場所に行くのは、人間の子どもが初めて学校に行くような気持ちと一緒です。
そんなネコちゃんたちを動物病院へ連れてくるのは、とっても大変なことです。
ネコちゃんが病院をちょっと苦手だと感じるのは、普通のこと。
でも当院では、そんなネコちゃんでも安心してお越しいただけるように、猫にやさしい病院づくりを目指しております。
当院の猫に優しい取り組み
1ブランケットをご用意
ネコちゃんのためのブランケットをご用意しております。怖がりな子が多いネコちゃんが安心できるよう、周りが見えないように、ケージやキャリーの上から被せてご利用いただけばと思います。必要な方はスタッフまで声がけください。
2リラックスさせる猫のフェロモン
ネコちゃんは、ワンちゃんに比べて怖がりな子が多いです。
そのため、少しでもリラックスできるように散布型のフェリウェイ(ネコちゃんを安心させるためのフェロモン製剤)を使用しています。これにより、ネコちゃんの緊張をほぐし、診察時のストレスを軽減するお手伝いをしています。
3診察の際のストレスを減らす取り組み
ネコちゃんたちの診察室では、ふかふかのタオルやおいしい猫用のおやつを用意しています。私たちは、ネコちゃんたちができるだけストレスなく、安心して診察や処置を受けていただけるよう心がけています。
4ネコちゃんへの知識が豊富なスタッフが在籍
ネコちゃんの取扱いに関して、熟練のスタッフが在籍しております。なるべくストレスをかけないように接しております。
ネコちゃんへの投薬方法、耳掃除、目薬の入れ方、歯磨きなどに関してもお気軽にご相談ください。
5ネコちゃん専用の健康診断コースをご用意
ネコちゃんたちの体調や健康状態を専門的にチェックします。ネコちゃん特有の健康リスクを考慮し、その子にあった必要な検査や健診を行います。元気に長く一緒にいるために、1年に2回以上の健康診断をおすすめしています。人にとっての1年は、ネコちゃんにとっては約4年。大切なネコちゃんにも健康診断の機会を作ってあげてもらえたらうれしいです。
ネコちゃんを動物病院に連れていく方法
もともとネコちゃんは、動物病院だけでなく、知らない人や場所を苦手とすることがあります。しかし、病院が苦手なネコちゃんでも、ストレスを最小限に抑え、安心して診察を受けるためのコツがあります。こちらでいくつかのアプローチをご紹介いたします。
1:キャリーに慣れる方法と選び方
キャリーケースは、病院に行くときに使うことが多いので、ネコちゃんにとっては『キャリー=病院(痛い、怖い)』となってしまうことがあります。
次の方法で、ネコちゃんにとって『キャリー=居心地のよい場所』に変えていくことができます。
1毎日の生活にキャリーを取り入れる
普段からねこちゃんの過ごす部屋にキャリーケースを置き、隠れ家として使えるようにしましょう。
2選ぶべきキャリーケース
上半分が外れるプラスチック製のキャリーケースがおすすめ。キャリーケース内にはお気に入りの毛布やおもちゃを置いておくとよいですよ。
3キャリーでの食事や遊び
キャリーケースでご飯を食べさせたり、遊ばせたりすると、ネコちゃんがキャリーに慣れます。
4キャリーの置き場所
ネコちゃんがよく寝ている場所や遊んでいる場所に置いて、自由に出入りできるようにしましょう。
5安心の移動
来院時にはキャリーケースを布で隠すと、ネコちゃんが安心して移動できます。夏場は保冷剤で涼しくしてあげる工夫も。
2:愛猫が動物病院で暴れてしまう子を落ち着かせる方法
洗濯ネットを使う
愛猫を病院に連れて行く前に、洗濯ネットを使う方法を試してみましょう。洗濯ネットを使うことで、愛猫が安心して過ごせる環境を作ることができます。洗濯ネットを使うのは獣医師もおすすめしている方法で、愛猫の脱走の心配がなく、診察もスムーズに進めることができます。洗濯ネットは愛猫の身体より大きく、目の粗いものを選ぶとよいですよ。
洗濯ネットを使う際のポイントは、愛猫をネットに頭から入れること。全身を包み込むようにすると、愛猫も落ち着きやすくなります。一方、キャリーバッグに入れる際は、お尻から入れるとスムーズに入れることができます。
バスタオル・ブランケットを活用
待合室では、愛猫の不安を和らげるために、キャリーバッグにバスタオルやブランケットをかけてみましょう。これによって、ほかの飼い主さんや動物の姿が見えなくなり、愛猫が落ち着きやすくなります。また、やさしく声をかけることも大切です。声をかけることで、愛猫はあなたの存在を感じて安心することでしょう。
猫のお薬の飲ませ方について
お薬をネコちゃんに飲ませるのに苦労している飼い主は多いことと思います。
ネコちゃんは通常、薬を自発的に飲みたがる動物ではないため、無理に薬を飲ませるとストレスを与えるだけでなく、成功率も低くなりがちです。そんな飼い主のために、薬を上手に飲ませる方法をお伝えしましょう。以下に、猫に薬を飲ませるためのアプローチをいくつかご紹介します。
錠剤・カプセルの投与薬方法
1やさしく接する
まず、猫に安心感を与えるために、やさしく穏やかに接しましょう。 ネコちゃんがストレスを感じている場合は、他の方法も検討しましょう。
2ネコちゃんを保定する
家庭で行う場合、バスタオルを使った保定や部屋の隅を利用した保定が便利です。
ネコちゃんが身動きしにくくなるように注意しましょう。
3薬をつまむ
薬を利き手の親指と人差し指でつまみます。
中指は口を開ける際に使います。
4猫の頭を保定
反対側の手でネコちゃんの頭をしっかり保持します。
頬骨を包み込むようなイメージで保持し、
ネコちゃんの頭の動きをコントロールしやすくしましょう。
5頭を上に傾ける
ネコちゃんの頭を上に傾けて、鼻が天井を向くようにします。
こうすることでネコちゃんが口を開けやすくなります。
6口を開ける
利き手の中指を下顎の切歯に当て、やさしく押し下げて口を開けます。
このとき、錠剤をつまんでいる手で口を開けるので、すばやく行います。
7薬を投与する
口が開いたら、薬をすばやく口の奥に投与します。
舌の中央にあるU字溝を目指しましょう。
8頭を離す
薬を投与したら、頭からやさしく手を離します。
9フードや水を与える:
薬を飲みこめるよう、少量のフードや水を与えます。
薬の味を消すのに役立ちます。
これらのステップを順番に実行すれば、ネコちゃんに薬を飲ませることができます。
ただし、ネコちゃんの反応に注意しながら、やさしさと根気を持って行うことが大切です。
一連の動画
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錠剤のつまみ方
利き手の親指と人差し 指でつまみます。中指(矢印)は開口するときに 使用するので、自由にしておきましょう。 -
頭部の保定
左右頬骨を利き手と反対側の手 で優しくつかみます。頚部を軽く伸ばし ながらネコちゃんの鼻頭が天井を向くまで優しく持ち上げましょう。 -
錠剤の投入部位
舌中央のU字溝に錠剤を落とすか置くと飲み込みやすいです。
そのほかの部位 に落ちると、舌を器用に動かして上手く吐き 出してしまいます。
口を開くことが難しい場合
ネコちゃんに薬を飲ませるステップ
薬を用意する
まず、ピルガンや別の投薬補助器具に錠剤やカプセルを入れます。こうした器具があるとスムーズに薬を飲ませやすくなります。
ネコちゃんの頭を包む
ネコちゃんの頭をやさしく手の平で包むように保定します。ネコちゃんが安心できるように力を入れず穏やかにやりましょう。
頬骨を押さえる
頬骨(ほおの骨)を指でしっかり押さえます。こうすると口の中に薬を入れるすき間ができます。
薬を入れる
薬をネコちゃんの口に入れるために、犬歯(尖った歯)と臼歯(奥歯)の間のすき間から薬を滑り込ませます。
薬を喉に落とす
薬を滑り込ませたら、薬が喉の奥に落ちるのを待ちます。ネコちゃんは自然に飲み込むはずです。
水を飲ませるか食事を与える
薬が飲み込まれたら、シリンジ(注射器のようなもの)を使って水を飲ませるか、ネコちゃんに食事を与えます。これにより、口の中に残った薬の味が消えてネコちゃんが元気になります。
これらのステップを実行することで、ネコちゃんに薬を飲ませることができます。
大切なのは、ネコちゃんに対してやさしく接し、
ストレスを与えないことです。そして、成功したらほめてあげましょう。
粉薬の投薬法
実際の投与法
水に溶かしてシリンジで薬を与える方法
1水に溶かす
まず、少量(0.5~1.0ml)の水を用意します。薬の粉をこの水に溶かします。水に溶けるまでかき混ぜるといいでしょう。分包紙(水に溶けない包装紙)を使う場合は、分包紙の中で薬を溶かすことで無駄が少なくなります。
2ネコちゃんの頭を包む
ネコちゃんの頭を手の平で包むようにやさしく保定します。ネコちゃんがリラックスできるように気を付けましょう。
3頬骨を押さえる
頬骨(ほおの骨)を指でしっかり押さえます。これはシリンジを入れるスペースを作るのに役立ちます。
4シリンジを使う
シリンジに薬を吸います。シリンジは細長い筒状のもので、先端に注射針がついています。このシリンジを猫の口に近づけます。
5薬を与える
シリンジを犬歯(尖った歯)と臼歯(奥歯)の間のすき間からゆっくりと滑り込ませます。シリンジから薬を少しずつゆっくりと流し入れ、ネコちゃんの喉の奥に届けます。
①~④をすることで、薬を水で溶かしてシリンジを使って猫に与えられます。
大切なのは、ネコちゃんにやさしく接することと、
ゆっくりと慎重に行動することです。
ウェットタイプのフードに薬を混ぜる方法
1薬を混ぜる
苦味が少ない薬は、ウェットタイプのフードに混ぜて与えることができます。こうすることで、ネコちゃんに薬を気付かれることなく摂取させられます。
2身体や口に触るのを避ける
ネコちゃんが体や口を触られることを嫌がる場合、できるだけ身体や口に触れないようにしましょう。猫をストレスから解放できます。
3一食分に混ぜない
薬を一度にすべてのフードに混ぜてしまわないようにしましょう。ネコちゃんがフードを残してしまったら薬も一緒に残ってしまうからです。
4一口大のウェットフードに混ぜる
薬は一口大のウェットフードに混ぜます。このようにすることで、ネコちゃんは一口で薬を摂取することができます。
5空腹時に与える
ネコちゃんがお腹が空いているときに、薬入りフードを与えるのがおすすめです。空腹時にはネコちゃんは食べる意欲がより高まり、薬を残さず摂取しやすくなります。
投薬補助剤を使用する方法
1投薬補助剤を用意する
まず、ネコちゃんが好みの投薬補助剤を見つけることが大切です。いくつかの種類を用意しておくと、ネコちゃんが選びやすくなります。
2代用品を考える
ネコちゃんに特定の食事制限がない場合、マヨネーズやバニラアイスクリームなどの代用品も使用できます。これらの食品に薬を混ぜて与えることで、ネコちゃんが薬を受け入れやすくなります。
当院で取り扱いがない投薬補助剤の中には、お取り寄せ可能なものもございます。お気軽にご相談ください。
空のカプセルに薬を入れる方法
1空のカプセルを用意する
まず、空のカプセルを用意します。このカプセルに薬を入れることで、苦味のある粉剤の薬も簡単に与えることができます。
2薬を入れる
空のカプセルに薬を入れます。
カプセルに正確に薬を詰めましょう。
オブラートで包む方法
1オブラートを用意する
まず、オブラート(水に溶けやすく食べられる薄いフィルム)を用意します。これを使って薬を包みます。包み方が緩いと、口の中でほどけてしまうので注意が必要です。
2薬を包む
オブラートを小さく切って、薬を包みます。薬を包む際には、こぼれないようにしっかりと包みこむことが大切です。小さく包むと、ネコちゃんに飲ませやすくなります。
3投与薬を与える
薬をオブラートで包んだら、ネコちゃんに薬を与えましょう。
液剤の投与方法
薬剤の投薬法
液剤の場合は錠剤と違い、顔を強くつかむ必要はありません。 液剤はシリンジで直接投薬できることが多いですが、難しい場合はウェットフードに混ぜて与えるのも効果的です。
実際の投与法
1ネコちゃんの頭を包む
まず、ネコちゃんの頭部を手のひらでやさしく包むように保定します。ネコちゃんがリラックスできるように気を付けましょう。
2頬骨を押さえる
頬骨(ほおの骨)を指でしっかり押さえます。これはシリンジを入れるスペースを作るのに役立ちます。
3シリンジを使う
シリンジに薬を吸い取ります。このシリンジをネコちゃんに近づけます。
4薬を与える
シリンジを犬歯(尖った歯)と臼歯(奥歯)の間のすき間からゆっくりと滑り込ませます。シリンジから薬を少しずつゆっくりと流し入れ、ネコちゃんの喉の奥に届けます。
ウェットタイプのフードに混ぜる
1まず、ウェットタイプのキャットフードを用意します
このフードに、ネコちゃんの薬を混ぜます。こうすることで、薬を気にせずにネコちゃんが食べられます。
2体や口を触らない
ネコちゃんが体や口を触られることを嫌がる場合、無理やり触れないようにしましょう。ネコちゃんをストレスから解放できます。
3一食分に混ぜない
薬を一度にすべてのフードに混ぜ込まないようにしましょう。なぜなら、ネコちゃんがフードを残してしまうと、薬も一緒に残ることになるからです。
4一口大に混ぜて空腹時に与える
代わりに、薬を一口大のウェットフードに混ぜます。そして、猫がお腹が空いているときに与えます。猫は空腹になればなるほどよく食べる傾向があるため、薬を残さず食べやすくなります。
液剤を投薬するときの注意点は、錠剤とは違って、吐き出してしまっても追加で与えてはいけないことです。錠剤の場合、吐き出したら再度与えることができますが、液剤は吐き出した量がわからないため、追加投与すると薬を多く与え過ぎる可能性があります。したがって、液剤の場合は一度吐き出されたら、それ以上の投与は避けましょう。
また、ネコちゃんに合う薬の剤型や投与方法は一匹一匹で異なります。ネコちゃんが得意な方法を見つけることが大切です。もし薬の投与が難しい場合は、動物病院のスタッフに相談することをおすすめします。
目薬のさし方
ネコちゃんのお尻側に座る
ネコちゃんを自分が向いているのと同じ方向に向けて、床に座らせたり、膝の上に抱きかかえましょう。
また、ご家族が手伝ってくれる場合は、少し高い机の上などで行ってもいいでしょう。
頭の抑え方について
ネコちゃんの顎の下にやさしく手を添えて、真上を向かせます。もう一方の手でまぶたが上を向くように頭をしっかりと固定します。
バスタオルなどで包んであげると、安心するネコちゃんもいますので、落ち着かない場合はお試しください。
目薬を視界に入れない
ネコちゃんの顎の下にやさしく手を添えて、真上を向かせます。もう一方の手でまぶたが上を向くように頭をしっかりと固定します。
目薬をさす
まぶたを引き上げ、目薬をさします。
目薬は何滴も垂らさずに、1滴だけ垂らすようにしましょう。
爪切り方法
用意するもの
爪切り(ギロチンタイプ、ニッパータイプ)
出血させてしまった場合は、止血剤を使うかティッシュで圧迫止血をする必要がありますので、あらかじめ止血剤をご用意いただくと安心です。
猫の爪の構造
ネコちゃんの爪は玉ねぎのような多層構造をしています。
爪を研ぐことで古い層が剥がれ、新しい爪が出てきます。
爪そのものは普段は肉球の間にしまわれていますが、物をつかむときなど、力が加わることで出てきます。
爪切りの必要性
- 伸びた爪をカーテンなどに引っかけて爪が折る恐れがある。
- 飼い主さんや同居の動物などに思わぬケガをさせてしまう恐れがある。
などの理由から、室内飼いのネコちゃんの場合は定期的に爪切りをする必要があります。
爪切り方法
- ①抱っこ・寝かせる・立たせるなど、その子が1番落ち着く体勢にする
- ②肉球の間から爪を出す
- ③爪のとがっているところを落とすように切る
- ※後ろ足から切った方が嫌がらない子が多いため、後ろ足からチャレンジしてみてください!
参考動画
二人で切る場合
一人で切る場合
嫌がってしまう場合
- ①無理せず、1~2本の指だけ切る
- ②おやつで気を紛らしたり、バスタオルなどでくるむ
- ③どうしても難しい場合は、動物病院で切ってもらう